再資源化から言えば、マテリアル・リサイクル(再生材化)が望ましいに決まっている。
家電リサイクル法の4品目(エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機)と同じように、プラスチック製晶は「A社製の廃品はA社で回収する」、さらに「A社で再生する」を原則とすべきではなかろうか。
自社製品ならどんな可塑剤を使っているか、よくわかっているからね。
『通販生活』では、自社内に再生ラインを持っているプラスチックメーカー(リッチェル、リス、ヨシカワ、シンコハンガーなど)のプラスチック商品しか販売しないことにしている。
これらのメーカーに戻った廃プラ材は擬木や植木鉢に製品化できるのだけど、もともとが価格の安い商品群なので、あえて回収送料まで自腹を切って各メーカーへ廃品を届けてくれる消費者は当然のことながら少ない。
このような取り組みについては、「宅配便で石油を消費しながら廃品を回収し、その上、分解と再生にまたおカネをかけるなんて非効率もはなはだしい」という、おなじみのリサイクルコスト批判がある。
1理あると思うけど、だからと言って残り少なくなっている地球資源をむやみに焼却していくだけでいいのかよという本能的不安は消せない。
石油の枯渇を予言したしたいまも、石油ジャブジャブ消費は1向にあらたまっていないんだからね。
そう考えながら、でもやっぱりおなじみのコスト批判には一理あるなあと悩み返したりする。
私のところで再商品化しているマウスパッドや壁かけポケットはずいぶん高いものについてしまうからだ。
言うまでもなく、この悩みは持続可能型社会が生まれてくるための陣痛の1つだから、近視眼的な悲観論に落ちこんではいけないのだろうけど。
広告信用政策としての環境政策通販業界が通販業界であるがゆえにつくり出している環境負荷の中で、もっとも目につくそれは、紙(カタログ用紙)と配達(ガソリン、排気)。
とくに、紙の消費量はおびただしい。
私のところでは『通販生活』4冊の他に『ピカイチ事典』を発行しているから、年間の紙消費210量は約5300トンに達する。
それでも、業界の中では少ないほうだ。
大手の通販企業は『通販生活』の3倍くらいのページ数で500万、700万部のカタログを出しているからね。
どこも新聞古紙をまぜた再生紙を使っているが、私のところは100%雑誌古紙にこだわっている。
雑誌の紙はこれまではなかなか印刷用紙には再生しにくかったのだけど、廃雑誌から新雑誌への循環にこだわるT君の執念が大昭和製紙、王子製紙を動かして、03年度から私のところのカタログはすべて雑誌古紙100%再生紙でつくれるようになった。
同じく印刷インキも東洋インキ、ザ・インクテックの努力によって、石油系から非石油系溶剤のインキへと転換できた。
商品の配達については、ヤマト運輸がすでに設計していたシステムだけれど、遠隔地への配わかったわかった、自慢はそのくらいにしといてくれ。
要するにそういった努力や工夫を臆面もなく発表していくことで、広告主1広告の信用をつくっていきたいわけだろ。
その通り。
こんなしんどい作業、見返りがなければつづけられないもの。
見返りはあったの?これが私の会社の年度別売上げ(年商)。
回収再生政策を宣言した97年度からいきなり売上げがバネ上がったのはできすぎだが、これはテレビの1時間番組が『通販生活』をとり上げてくれたせい。
とり上げてくれた理由には、当然、環境政策が含まれていた。
日l本人は(政治家を別にして)シャイな民族だから、自己PRや自慢は概して苦手だ。
しかし、こと環境問題への取り組みについては、事実であるかぎり自慢すべきだろう。
自慢しなくては伝わらない。
伝わらなければ企業の信用はつくれない。
でもねえ、得々と自慢するなんて夜郎自大に思われそうで恥ずかしいよ。
ほら、そこで必要になってくるのが、天野祐吉さんが先に言っていた「表現のセンス」だよ。
自慢に聞こえないように自慢するテクニック。
電気製品とチェルノブイリ事故毎日の新聞やテレビニュースから現実が見えてくるように、商品を扱っていると、やはり商品を透かして現実が見えてくる。
見まいとしても見えてくる。
商品には人間のさまざまな欲望、その欲望がひきおこすさまざまな矛盾が内蔵されているわけだから、よほど能天気な小売でもないかぎり、「商品からは売上げやボーナスしか見えてこないけど」なんてとぼけたことは言えない。
現実が見えてくる商品の典型は電気製品だ。
おいおい、原発ってそんなにおそろしい施設だったのかよ。
1979年のスリーマイル島原発事故って、こういうことだったのか。
いっぺんで、原発への幻想から醒めた。
事故の翌年に広瀬隆さんが『危険な話』(八月書館・87年刊)という原発批判の本を出した。
私はとても共感したので、その年末の取引先へのお歳暮に「危険なお歳暮」と銘うって同書をソ連国内の各紙誌を原資料とした松岡信夫さんの『ドキュメントチェルノブイリ』が出た。
チェルノブイリ原発の刑事責任を審理した87年7月の裁判記録までのっている、わが国初の本格研究書だった。
再度、ショックを受けた。
私の反応が当時の平均的反応よりも少しばかり過敏だったとしたら、それは電気製品を売っていたからだ。
電気製品を売ってきた、これからも売りつづけないわけにはいかないという私の立場が、チェルノブイリという「電気がもたらした悲劇」を重く捉えさせた。
た。
「ソ連」の体制が行きづまって鉄のカーテンがほころびはじめたせいだった。
89年の8月にはバルト3国、チェルノブイリ事故の処理に多くの労働者が強制的にかり出された国で独立を求める人間の鎖がつくられた。
11月には東西ベルリンの通行が自由になり、事実上ベルリンの壁は崩壊した。
チェルノブイリ事故の実態が刻々と報道されるようになったのは、「ソ連」が崩壊しはじめたおかげだった。
初めて私たちの目の前に現れたチェルノブイリの小さな被ばく者たちは、現代の私たちが享受している電気万能生活の行きつく果ての姿をその肉体で証明してくれていた。
甲状腺ガンや小児白血病で死んでいくチェルノブイリの子どもたちは、おのれの肉体を犠牲にすることで私たちの子どもや孫の未来の姿を警告してくれていた。
ショックを受けた。
わるいのは原発ではなくて、電気製品を売りまくることによって原発をつくらせてしまった私だった。
批判されるべきは私であり、したがってチェルノブイリの子どもたちに責任をとらなくてはいけないのだった。
このくだり、ヘン、カッコつけやがってと眉をしかめる読者がいても気にしないよ。
いまもなお私、心底そう思っているから。
考えてみたら、私の出発点になった『ルームランナー』と原発は一卵性双生児なのだった。
先に述べた通り、『ルームランナー』は七〇年代の石油危機によって生まれた新聞広告の空きスペースを利用することでヒットした。
石油危機がなければ5段の空きスペースも発生しなかったわけだから、『ルームランナー』のアイディアも思いつかなかったかもしれない。
同様に原発もまた、同じ石油危機を契機として、もはや石油火力には依存できないと電力会社が増やしていったものだった。
ともに、育ての親は七〇年代の石油危機だったのだ。
この二つが双生児である証拠に、『ルームランナー』によってつくられた私の会社は、その後、原発によって生産される電気を必要とする商品をせっせと販売する会社になっていった。

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